「夫や妻の不倫が発覚し、しかも不倫相手も既婚者という〝ダブル不倫〟だった」
不倫という配偶者による裏切り行為が発覚したとき、誰しも驚きや悲しみを感じます。
それに加え、それがダブル不倫だった場合、「慰謝料請求はできるのだろうか?」「逆にこちらが請求されるのではないか?」と不安に思う方もいるでしょう。
この記事では、ダブル不倫の概要や、慰謝料請求の可否、慰謝料請求時のポイントなどについて詳しく解説しています。
目次
ダブル不倫とは?

ダブル不倫とは、結婚している者同士が不倫(不貞行為)をすることをいいます。
そもそも「ダブル不倫」という言葉は、法律用語ではなく、言葉自体に明確な定義はありません。
そのため、夫婦の双方が不倫している(二重の不倫関係が発生している)場合もダブル不倫と呼ぶこともありますが、多くは先述のような、既婚者同士の不倫のことを指します。
ダブル不倫の発端として多いのは、子どもに関連するコミュニティで知り合うケースです。
具体的には、子どもの学校のPTAの集まりや、習い事などで、親同士が関わり合う機会を通じて出会った相手と不倫関係に発展するというものです。
お互いが既婚者で、かつ子どもを持つ親として、共通の話題や悩みがあるために意気投合してしまい、ダブル不倫の関係に発展するケースが多いです。
ダブル不倫の特徴としては、お互いが既婚者であるため、相手から「離婚してほしい」と求められにくいという安心感から、長期的な不倫関係になりやすい点があります。
また、お互いの配偶者に不倫を知られたくないという利害が共通することから、不倫の秘密がバレにくくなるという点も特徴です。
ダブル不倫で慰謝料請求できる?

夫や妻がダブル不倫をしていることが発覚したとき、不倫相手に慰謝料請求することはできるのでしょうか。
結論としては、たとえダブル不倫でも、不倫をされた側の配偶者は、
- 不倫をした配偶者
- 不倫相手
の両方に慰謝料を請求することが可能です。
ただし、注意すべきは、ダブル不倫の場合、被害者が2人いるという点です。
通常の不倫(不倫相手が独身である場合)は、不倫の被害者は、不倫をされた配偶者の1人だけです。
しかし、ダブル不倫の場合には、不倫をした当事者双方に配偶者がいるため、被害者が2人になります。
例えば、あなたがダブル不倫をされた被害配偶者だとすると、あなたの配偶者と不倫相手の双方に対して慰謝料請求ができますが、それと同様に、不倫相手の配偶者からも、あなたの配偶者に対して慰謝料請求がされる可能性があるのです。
このように、通常の不倫に比べて、ダブル不倫のケースは、法律関係がより複雑になる可能性があります。
ダブル不倫の慰謝料の相場
ダブル不倫の慰謝料の相場は、一般的な不倫の慰謝料相場と大きく変わりません。
- 不倫後も婚姻関係を継続する場合 50万円から100万円
- 不倫が原因で離婚した場合 200万円から300万円
このように、不倫が原因で夫婦が離婚に至ったかどうかで、慰謝料の額は大きく変わります。
慰謝料の算定方法
慰謝料の金額は、不倫をされた配偶者の精神的苦痛の大きさや、夫婦に与えた悪影響が大きいほど、増額する傾向にあります。
慰謝料を算定する要素としては、以下のようなものが挙げられます。
- 婚姻期間の長さ
- 不倫当時の夫婦の関係性
- 不貞行為の回数や不倫の継続期間
- 不倫の態様の悪質さ
- 未成年の子どもの有無、人数
一般的に、不倫の期間が長かったり、不貞の回数が多いほど、それだけ不倫をされた配偶者の精神的苦痛の程度も大きいと評価されるため、慰謝料は増額する傾向にあります。
慰謝料を請求する方法
不倫の慰謝料請求を弁護士などの専門家に依頼せず、自力で行うことは可能です。
しかし、法的な知識や交渉力が必要となり、交渉が失敗してしまうと、より事態が泥沼化するリスクがあるため注意が必要です。
特にダブル不倫の場合、不倫が発覚したからといって安易に不倫相手に慰謝料請求してしまうと、不倫相手の配偶者からあなたの配偶者に報復的に慰謝料請求されてしまう可能性があるため、事案をよく考慮した上で慎重に行う必要があります。
不倫相手に慰謝料を請求する方法は、以下のとおりです。
不倫の慰謝料請求をするためには、その根拠となる不倫の証拠を確保する必要があります。
不倫の証拠とは、配偶者と不倫相手との間に肉体関係があったことを証明する資料です。
不倫の態様や、慰謝料の相場を総合的に考慮し、請求する金額を決めた上、慰謝料請求書を作成します。
慰謝料請求書には、一般的に以下の事項を記載します。
- 不倫の事実があったこと
- 請求する慰謝料の金額
- 慰謝料の支払期限と振込先
- 期限までに支払いがない場合の対応(法的措置の検討など)
慰謝料請求書は、内容証明郵便で不倫相手の住所へ送付します。
内容証明郵便で送付することで、請求内容や送付した日付を公的に証明することができます。
内容証明郵便を送付した後、不倫相手から連絡が来た場合、示談交渉を行います。
示談交渉で、不倫相手が減額を求めてきた際は、客観的な証拠と法的な相場を根拠に冷静に話し合うことが必要です。
示談交渉の結果、慰謝料の金額や支払い方法について合意ができた場合、必ずその内容を記載した示談書を作成します。
示談書を作成することで、当事者間の合意内容を法的に拘束することができます。
示談書に署名・押印すると、不倫相手に合意内容を守る義務が生じ、原則として後から変更や撤回はできません。
また、裁判になった際の有力な証拠になります。
ダブル不倫の解決方法

ダブル不倫を解決するためには、具体的にどのような方法があるのでしょうか。
一般的に、ダブル不倫を解決する際は、①双方の不倫を完全に分離して考え、不倫をされた配偶者が各々に慰謝料請求を行う方法と、②4人の当事者全員が協議して示談を成立させる方法(四者和解)の2パターンがあります。
以下、詳しく解説します。
双方の不倫を分離して解決する
まず、双方の不倫を完全に分離して考え、あなたから不倫相手に対する慰謝料請求と、不倫相手の配偶者からあなたの配偶者に対する慰謝料請求を別々に進めるという方法です。
主にこの方法は、不倫が原因で夫婦が離婚する場合に用いられます。
夫婦が離婚した場合、たとえ不倫相手の配偶者からあなたの配偶者に対する慰謝料請求があったとしても、夫婦でなくなる以上、夫婦の共有財産からお金が減ることはなくなるからです。
しかし、現実には不倫発覚後も夫婦が離婚しないケースも多くあります。
被害配偶者がダブル不倫発覚後も配偶者と離婚しない予定の場合、被害配偶者が不倫相手から慰謝料を受け取ったとしても、不倫相手の配偶者に慰謝料を支払ってしまえば、夫婦の共有の財産からお金が減るということになり、単にお金が行ったり来たりするだけということになってしまう可能性があります。
当事者全員で協議する(四者和解)
ダブル不倫の解決方法として、4人(双方の夫婦)で一挙に解決するという方法が取られる場合があります。
これを「四者和解」といい、不倫の当事者を含む夫婦全員で慰謝料などについて取り決めます。
ただし、片方の夫婦でいまだ不倫が発覚しておらず、そのまま不倫を発覚させることなく解決したいという希望がある場合には、夫婦双方を含めて和解することができないため、この方法は用いることができません。
また、この方法は、「四者ゼロ和解」の可能性があるため注意が必要です。
「四者ゼロ和解」とは、不倫の当事者を含む夫婦双方で慰謝料を全く請求しないことを取り決めることをいいます。
先述したとおり、不倫後も双方の夫婦が離婚しない場合、互いの家計が一つであるため、お互いが慰謝料を請求しても、お金が行き来するだけということになります。
そのため、四者ゼロ和解という解決方法が取られることがあるのです。
ただし、不倫の加害者の一方に態様の悪質さが認められるようなケースでは、慰謝料の額に差が生じるため、「四者ゼロ和解」による解決が不適当な場合があります。
ダブル不倫で慰謝料を増額する方法

収集した不倫の証拠の内容や主張の方法等によっては、慰謝料を増額することが可能です。
以下、詳しく解説します。
精神的損害の大きさを証明する
そもそも慰謝料とは、他人の行為によって受けた精神的苦痛に対する損害賠償として支払われる金銭です。
すなわち、精神的苦痛が大きいと判断されれば、その分慰謝料は増額されます。
慰謝料が増額される要素としては、以下のとおりです。
- あなたの夫婦の方が、不倫相手の夫婦よりも婚姻期間が長い
- 不倫をきっかけに夫婦関係が破綻した
- あなたの夫婦だけが、不倫が原因で離婚した
- あなたの夫婦にのみ未成年の子どもがいる
- あなたの夫婦の子どもの方が年齢が幼い、または子どもの人数が多い
不倫相手の行為の悪質さを指摘する
不倫の有様の悪質さは、慰謝料の金額を判断する際の重要な要素となります。
不倫相手の行為が悪質だと認められた場合、不貞行為によって被った精神的苦痛が大きいと判断され、慰謝料が高額になる傾向があります。
悪質な態様と評価される行為の例は、以下のとおりです。
- 上司と部下などの力関係を利用して、一方が無理やり関係を迫った
- 未婚であると嘘をついていた
- 離婚を執拗に要求した
- 被害配偶者に対して何度も電話をかけるなどの嫌がらせを行った
- 被害配偶者に対して不倫の内容を誇示したり、被害配偶者を侮蔑する内容のメッセージを送った
- 被害配偶者から関係を断つよう求められていたのに交際を続けた
- 被害配偶者に対して謝罪をした後、不倫関係を続けた
- 被害配偶者の自宅に上がり込んで不貞行為に及んだ
ダブル不倫の調査で探偵が出来ること

ダブル不倫が発覚した際は、探偵に調査を依頼することをお勧めします。
先述のとおり、ダブル不倫では、当事者の人数が多く、慰謝料請求における交渉が複雑化しやすいため、「証拠の質」が極めて重要になります。
探偵であれば、安全かつ確実に、より多くの質の高い証拠を収集することが可能です。
以下、ダブル不倫のケースにおいて探偵が調査できることを具体的に解説します。
不倫の証拠を収集する
探偵による不倫調査では、主に尾行、張り込み、聞き込み等の調査を行い、以下のような確固たる証拠を収集します。
- 不貞行為(肉体関係)を推認できる写真や動画(ラブホテルや自宅への出入り場面など)
- 不貞行為の事実を認めた音声の録音やスマートフォンのメッセージの記録
- 性的関係を示唆するメッセージアプリやSNSなどでのやり取りのデータ
仮に自力で証拠収集を行おうとした場合、不倫相手やその配偶者に発覚して逆恨みされるなど、危険な状況に陥るリスクがあります。
しかし、探偵であれば、プロの知識と技術を用いて証拠収集するため、安全・内密に調査を行うことができるのです。
また、自分で証拠を掴もうと尾行したりGPSを使用したりすると、プライバシーの侵害やストーカー規制法に抵触するリスクがあります。
その点、公安委員会から認可を受けた探偵であれば、探偵業法という法律に準じて調査を行うため、リスクを避けて証拠を集めることができるのです。
なによりも、不倫の証拠集めを自力で行うと、精神的に大きな負担を伴います。
証拠収集を探偵に任せることで、依頼者自身の精神的な負担を軽減させることができます。
不倫相手の身元・素行調査
慰謝料を請求したり、法的措置を行うためには、不倫相手の氏名と住所を知る必要があります。
探偵であれば、氏名・住所に限らず、不倫相手に関する以下のような情報を収集することができます。
- 氏名
- 現住所、電話番号
- 年齢
- 勤務先
- 家族構成や友人関係
- 生活の様子
探偵に調査を依頼することで、不倫の事実だけでなく、不倫の頻度、場所、期間、不倫相手の素性などの「行為の悪質性」を示す情報も収集することができます。
このような証拠は、慰謝料の金額を増額させるための重要な根拠となります。
ダブル不倫でお悩みの方はご相談ください

ダブル不倫は、双方の被害配偶者が慰謝料を請求できるため、通常の不倫よりも慰謝料請求が複雑になるという特徴があります。
当探偵事務所では、日頃から数多くの浮気・不倫ケースのご相談をお受けしており、問題解決のサポートを行なっています。
ダブル不倫でお悩みの方は、まずはご相談だけでも、お気軽にご連絡ください。
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