糾弾する人

人格否定、無視、生活費を与えない、怒鳴る、脅すなど、暴力を伴わない精神的支配によるモラルハラスメント(以下モラハラ)の相談は急増しています。

モラハラ被害の多くは暴力のような外傷が残らないため、第三者からは状況が理解されにくいという難しさがあります。

そのため、法的措置や離婚調停、会社への申し立てを行う際には、 被害を示す客観的な証拠が必要です。

この記事では、シチュエーション別のモラハラの種類と具体例を紹介したうえで、家庭・恋人関係・職場それぞれでのモラハラの証拠の集め方をくわしく解説します。

モラハラの種類と具体例

悩む女性

モラハラとは、言葉・態度・精神的な圧力によって相手をコントロールし、長期間にわたって追い詰める行為を指します。

暴力行為がなくても、心理的攻撃によって被害者の自己肯定感を奪い、判断力を低下させ、逃げられない状態をつくる深刻な心理的虐待です。

家庭、恋人、職場など、身近な関係性ほどモラハラは発生しやすく、かつ発覚しにくいという特徴があります。

家庭で起こるモラハラ(夫婦・親子・嫁姑など)

家庭内では、夫婦間だけでなく、親子間や親族間でもモラハラが発生します。

加害者は外面がよいケースが多いため、被害者は孤立しやすい傾向にあります。

夫婦・親子間
  • 「お前は価値がない」「誰が養ってやってるんだ」など、人格否定の言葉を繰り返す
  • 無視を続けて精神的に追い詰める
  • 生活費を渡さない(経済的DV)
  • 家事・育児を相手にすべて押し付ける
  • 「離婚したら子どもを渡さない」などと脅す
  • 過度な束縛や監視をする
  • 自分の機嫌で家庭内ルールを変える
  • 兄弟間で態度を変えて差別する
義親子・親戚間
  • 夫婦の関係や子育てに過度に干渉する
  • 嫁(婿)だけを無視する
  • 息子(娘)に嫁(婿)の愚痴を言う
  • 周囲に嫁(婿)の悪い噂を流す
  • 孫に嫁(婿)の悪口を言う

恋人・パートナー間で起こるモラハラ

恋人同士の場合は、優しさと支配を混同しやすく、被害者がモラハラと気づきにくいのが特徴です。

精神的な依存関係が強いほど、モラハラが長期化しやすい傾向があります。

  • GPSやスケジュール共有など、過度な束縛・監視
  • スマホやSNSを勝手にチェックするなど、プライバシーの侵害
  • 嫉妬を理由に友人関係を制限する
  • 別れ話になると、「お前の人生を終わらせる」などと脅す
  • 自分の都合を最優先し、相手の予定や仕事を軽視する
  • 「おまえのため」「俺がいないとおまえは何もできない」など、優しさを利用して相手をコントロールする
  • 「俺を怒らせたおまえが悪い」など、相手に罪悪感を植え付ける

職場で起こるモラハラ

会社では、上司・同僚・部下の誰からでもモラハラが起こる可能性があります。

業務上の注意ではなく、人格や尊厳を傷つける行為がモラハラに該当します。

職場という環境上、第三者からの証言が得やすいものの、モラハラが蔓延化して企業全体に悪影響が及びやすいという特徴があります。

  • 「こんなこともできないの?」など、大声で叱責する・人前で侮辱する
  • 会議に寄ばない、情報を共有しないなど、隔離する
  • 業務上必要な指示を意図的に行わない
  • 不必要に厳しいノルマを課す、あるいは仕事を与えない
  • 買い物、送迎など、業務に関係ない私的な要求をする
  • 評価を意図的に下げる

モラハラの影響や放置したときのリスク

顔を覆う男性

モラハラの被害者は「自分が我慢すればいい」と思い込む傾向があります。

しかし、モラハラを放置すると心身に深刻な影響を与え、その後の人生にも長期的に影響が及びます。

  • 抑うつ、適応障害、摂食障害など、精神的な不調
  • モチベーション低下
  • 自己肯定感の喪失、無力感
  • 人間不信に陥る

家庭に子どもがいる場合は、本人が直接モラハラを受けていなくても、暴言・罵倒・威圧的な態度を目の当たりにするだけで、情緒不安定、恐怖心、感情コントロールの困難、攻撃的言動の模倣といった悪影響が生じると言われています。

家庭内の空気が怒りや緊張で満たされる環境は、子どもの発達において重大なストレス要因です。

また、職場内でモラハラが発生した場合は、職場環境の悪化、生産性の低下、離職率の上昇、チームワークの崩壊といった問題が顕在化します。

さらに、企業が適切に対応しない場合、ハラスメント防止義務違反として訴訟や損害賠償請求につながるリスクもあります。

モラハラは放置するほど悪化し、周囲へ連鎖的な影響を及ぼします。

被害を最小限にとどめるためには、可能な限り正確な証拠を残し、第三者に相談することが大切です。

モラハラの証拠の集め方とシチュエーション別のポイント

CASEの文字

モラハラを第三者に証言するためには、証拠を集めることが重要です。

基本的なモラハラの証拠として、以下が有効となります。

  • 暴言、脅し、無視などの行為の録音・動画データ
  • 脅しや要求のメッセージ履歴
  • 事実を時系列で記録したメモや日記

モラハラは外傷が残りにくいため、ボイスレコーダーによる録音や防犯カメラの記録などが重要な証拠となります。

毎日の出来事は、主観的な感想ではなく、事実を客観的に記録することが重要です。

「〇月〇日 22:00 生活費は渡さないと言われた」など、日付と時間、言動を正確に書き記すようにしましょう。

ここからは、シチュエーション別にモラハラの証拠の集め方を紹介します。

家庭でのモラハラの証拠収集のポイント

  • ドアを乱暴に閉める音、物に当たる音の録音
  • 生活費を渡さない証拠(通帳、レシート、メッセージ)
  • 家事・育児の押し付けがわかる記録
  • 子どもの夜泣き・不眠・腹痛などの身体症状や乱暴な言動の模倣

経済的DVが疑われる場合は、通帳の写メを撮り、不自然な入金・出金、生活費が極端に不足している状況も記録しておきましょう。

子どもがいる場合は、子どもの心身に現れる兆候も重要な記録になります。

子どもが加害者の行動を怖がっている様子や、泣いたり怯えたりする場面があれば、その都度記録してください。

可能であれば、保育士や学校の先生から指摘された変化も、連絡帳・面談記録・メールのスクリーンショットなどで残しておくことが有効です。

恋人・パートナー間でのモラハラの証拠収集のポイント

  • スマホを勝手に設定変更された痕跡をスクリーンショット
  • GPS監視画面のスクリーンショット
  • 「別れ話をした際の脅し」を録音・録画
  • 第三者証言として、友人へ相談した内容の記録

恋人関係の場合、モラハラの証拠がないまま同棲解消や破局になってしまうと、あとから被害を証明するのは非常に困難です。

モラハラ被害を受けている間に、確実に証拠を集めましょう。

職場でのモラハラの証拠収集のポイント

  • 叱責・暴言の録音・録画
  • 業務連絡をわざと送らないチャットの履歴
  • 不自然な評価シートや人事資料のコピー
  • 業務量の偏りを示すメールやスケジュールの保存
  • 周囲が見ていた場合は、証言予定者リストを作成

職場の場合は、メールやチャットなどデジタル媒体での証拠が多いという状況を活かし、削除される前にスクリーンショットなどで保存しておきましょう。

会議室やデスク周りでの会話は、ボイスレコーダーで録音する方法がおすすめです。

モラハラの証拠集めにおいて探偵事務所に相談するメリット

夫婦間の問題

モラハラ被害で追い詰められている場合は、自力で証拠を集めるのが難しいのが現状です。

安定した生活を早めに取り戻すためにも、探偵事務所に相談するという方法があります。

第三者視点で証拠性を高められる

モラハラは、被害者本人の記録だけでは、主観的・感情的と判断され、十分な証拠として認めてもらえないこともあります。

しかし、探偵が事実を確認し、調査報告書としてまとめることで、証拠の客観性・信頼性は大幅に高まります。

調査報告書には、客観的事実のみを記載した行動記録、写真・動画・音声データ、行動パターンの分析などが記載されます。

裁判での証拠資料、保護命令の申し立ての裏付け資料、職場のハラスメント窓口への添付資料として、第三者機関にも証拠として提示することが可能です。

安全に証拠を確保できる

モラハラ加害者は、証拠を集めていることに気づくと逆上する恐れもあり、被害者自身が証拠を集めるのは心理的にも身体的にも危険です。

探偵事務所に依頼すれば、被害者本人が直接動く必要がなく、自分の身を守りながら迅速に証拠を集めることができます。

探偵事務所では、尾行・張り込み、日時入りの録画・録音、外出先での言動など、法的に問題のない範囲で必要な証拠を適切に確保します。

自分で調査するよりも、正確で客観的な証拠をより多く集められるという点でも、探偵事務所に相談するメリットは大きいです。

モラハラ以外の問題発見にもつながる

モラハラ加害者は、自分の行動を正当化し、責任を相手に押し付ける傾向があります。

そのため、自分の浮気・不倫行為ストーカー行為など、モラハラの裏で別の問題行動を隠しているケースも少なくありません。

罪悪感や後ろめたさから攻撃的になり、「お前の行動が不安にさせる」「連絡が遅いから浮気しているんだろう」と責任転嫁し、相手をコントロールします。

探偵事務所では、行動調査SNS・デジタル調査を行い、モラハラの背景を明らかにします。

潜在的な危険行為や問題行為の結果は、慰謝料請求や保護命令の申し立てでも強い証言として活用できます。

モラハラの証拠集めで悩んだときの相談窓口

相談窓口

モラハラは、家庭・恋人関係・職場など、あらゆる場面で発生しますが、最大の課題は証拠が残りにくいことにあります。

また、被害者本人の視野が狭くなり、モラハラ被害を受けていると気づきにくい点にも注意が必要です。

「この状況はモラハラかもしれない」「家(職場)にいるのが苦痛……」と感じている人は、探偵事務所に相談することを検討しましょう。

探偵に依頼して確実な証拠を押さえることで、自分の状況を客観視でき、離婚、保護命令、職場改善、退職・転職など、より良い選択肢を選びやすくなります。

モラハラに心当たりのある人や、自分の状況を冷静に理解したい人は、当探偵事務所の24時間無料相談窓口よりお問い合わせください。

プライバシーに最大限配慮しつつ、状況に応じた適切なアドバイスをいたします。

安心した日常を取り戻すためにも、ぜひ一度ご相談ください。

執筆/監修者:山内 和也

2025年12月14日

探偵調査歴20年。国内外の潜入調査、信用に関する問題、迷惑行為、企業や個人生活での男女間のトラブルなど、多岐にわたる問題を解決してきました。豊富な経験と実績を基に、ウェブサイトの内容監修や執筆も行っています。