配偶者から「性格の不一致」を理由に婚姻関係を解消したいと言われ離婚をしたが、実は元配偶者が婚姻中に不倫をしていたことが発覚したーー。
このような事実に直面したら、誰しも大きなショックを受けるでしょう。
不倫の事実を隠した状態で離婚の要求を受け、金銭面でも相手の要求を飲む形で離婚してしまっていた場合、悔しさや悲しさはなおのこと大きくなります。
当然、「離婚したけれど、婚姻中の不倫の慰謝料請求をしたい」と考える方もいるでしょう。
しかし、慰謝料請求は、婚姻中と離婚後で異なる点があるため、注意が必要です。
この記事では、離婚後に発覚した浮気の慰謝料請求の方法や、請求時のポイントについて解説しています。
目次
離婚後に元配偶者の浮気が発覚した事例

離婚後に、実は元配偶者が婚姻中に浮気をしていたことが発覚したという事例は、実は多いものです。
婚姻中の浮気が発覚したきっかけはさまざまですが、よくあるのは以下のようなパターンです。
- 元配偶者の浮気の証拠(写真、ホテルのレシートなど)を見つけた
- 友人や知人から元配偶者の浮気を暴露された
- インターネット上で元配偶者の浮気を示唆するやり取りや投稿を見つけた
- 元配偶者から浮気を打ち明けられた
離婚後に発覚した浮気の慰謝料は請求できる?

結論としては、離婚後に元配偶者の浮気が発覚した場合でも、慰謝料請求することは可能です。
また、離婚後であっても、婚姻中の浮気と同様に、元配偶者とその浮気相手の双方に対して慰謝料を請求することができます。
ただし、離婚後に慰謝料請求する場合、いくつかの注意点があります。
以下で詳しく解説します。
慰謝料請求権の時効に注意
不倫の慰謝料請求は、法律的には不法行為に基づく損害賠償請求権なので「時効」が存在します。
すなわち、不倫の慰謝料は、請求できる期限が存在し、一定期間を過ぎると、請求権が消滅してしまうのです。
不倫の慰謝料請求の時効は、原則として不倫の事実と不倫相手を知ったときから3年になります。
加えて、不倫の事実や不倫相手を知らないままであっても、最後に不倫が行われたときから20年以内に権利を行使しなければ、消滅時効により慰謝料の請求権が失われます。
そのため、離婚後に発覚した浮気の慰謝料請求をする場合は、請求権が消滅時効の期間を経過していないかを確認する必要があります。
離婚協議書がある場合は注意が必要
離婚したときに離婚協議書等を作成している場合は、注意が必要になります。
離婚協議書とは、離婚時のさまざまな条件(子どもの親権や養育費、夫婦の財産分与、不貞行為の慰謝料など)をまとめた書面です。
離婚協議書は、離婚後のトラブルを防ぐために作成されます。
また離婚協議書は、公証役場で作成してもらう「公正証書」にすることで、法的な強制力が得られます。
離婚協議書において、清算条項という項目が入れられた場合、離婚後に慰謝料を請求することができません。
通常、離婚協議書には、末尾に「清算条項」という項目を入れます。
以下は、清算条項の文言の一例です。
「甲及び乙は、今後、財産分与、慰謝料等名目の如何を問わず、相互に何らの財産上の請求をしないことを約束する。」
このように、清算条項とは、夫婦双方ともに、離婚協議書の内容以外の権利義務を持たないことを約束するものになります。
しかし、離婚協議書を作成した時点で、配偶者の浮気の事実をまったく知らなかった場合、錯誤無効(民法95条)を主張して、争うことは可能です。
ただし、その立証責任は慰謝料を請求する側にあり、実際に錯誤を立証することは難しいと言わざるを得ません。
離婚後に発覚した浮気の慰謝料の相場

浮気の慰謝料の金額は、浮気をされた配偶者の精神的苦痛の大きさや、夫婦に与えた悪影響が大きいほど、増額する傾向にあります。
通常の慰謝料の相場は、浮気が原因で夫婦が離婚に至ったかどうかで、その額が大きく変わります。
- 浮気後も婚姻関係を継続する場合 50万円から100万円
- 浮気が原因で離婚した場合 200万円から300万円
浮気が原因で離婚に至った場合、被害配偶者の精神的苦痛の大きさや、夫婦に与えた悪影響が大きいと判断され、慰謝料が増額されます。
一方で、離婚後に浮気が発覚したケースでは、この相場よりも減額されることが多くなります。
なぜなら、浮気が発覚する前にすでに離婚をしているため、「浮気が原因で離婚に至った」と認められない可能性が高いからです。
離婚後に慰謝料請求するための手順

元配偶者や浮気相手に対する慰謝料請求を、弁護士などの専門家に依頼せず、自力で行うことは可能です。
しかし、自力で慰謝料請求を行う場合、法的な知識や交渉力が必要となります。
もし相手との交渉が失敗してしまうと、より事態が泥沼化するリスクがあるため注意が必要です。
離婚後に発覚した浮気の慰謝料を請求する方法は、以下のとおりです。
1 ,時効に達していないか確認する
先述のとおり、離婚後に発覚した浮気の慰謝料を請求する場合、慰謝料請求権が時効により消滅していないかに留意する必要があります。
元配偶者の浮気の事実と浮気相手を知ったときから3年、浮気の始期から20年がまだ経過していない場合は、離婚後であっても慰謝料請求することが可能です。
2, 浮気の証拠を集める
浮気の慰謝料請求をするためには、婚姻中・離婚後に限らず、その根拠となる浮気の証拠を確保する必要があります。
浮気の証拠とは、配偶者と浮気相手との間に肉体関係があったことを証明する資料です。
離婚後に発覚した浮気の場合、過去の不貞行為を証明しなければならないため、証拠収集は通常と比較して難しいと言わざるを得ません。
- 不貞行為(肉体関係)を推認できる写真や動画
- 不貞行為の事実を認めた内容の当事者の音声の録音
- 肉体関係を示唆するメッセージアプリやSNS上のやり取り
3, 慰謝料請求書を作成し、相手方へ送付する
過去の浮気の態様や、上述した慰謝料の相場などを総合的に考慮し、元配偶者や浮気相手に請求する金額を決めた上で慰謝料請求書を作成します。
慰謝料請求書には、一般的に以下の事項を記載します。
- 婚姻中に不倫の事実があったこと
- 請求する慰謝料の金額
- 慰謝料の支払期限と振込先
- 期限までに支払いがない場合の対応(法的措置の検討など)
作成した慰謝料請求書は、内容証明郵便で元配偶者や浮気相手の住所へ送付します。
この際、内容証明郵便で送付することで、請求の内容や送付した日付を公的に証明することができます。
4, 示談交渉
内容証明郵便を送付した後、元配偶者や浮気相手から連絡が来た場合、示談交渉を行います。
示談交渉とは、トラブルの内容について裁判所を介さずに当事者同士が話し合い、双方が損害賠償の内容を合意することで解決を目指すことをいいます。
示談交渉で、元配偶者や浮気相手が支払い拒否したり、慰謝料の減額を求めてきた際は、感情的にならず、客観的な証拠と法的な相場を根拠に冷静に話し合うことが必要です。
5, 示談締結、示談書の作成
示談交渉の結果、慰謝料の金額や支払い方法について双方が合意したら、必ずその内容を記載した示談書を作成します。
示談書を作成することで、当事者間の合意内容を法的に拘束することができます。
示談書に署名・押印すると、不倫相手に合意内容を守る義務が生じ、原則として後から変更や撤回はできません。
また、裁判になった際の有力な証拠になります。
6, 示談ができない場合は裁判手続きを検討
示談交渉で解決できない場合は、家庭裁判所に慰謝料請求調停を申し立てます。
調停での話し合いの中でも決着がつかない場合は、訴訟を起こすことも可能です。
このような裁判手続きに移行した場合は、提出書面などが複雑になるため、弁護士などの法律の専門家に相談することをおすすめします。
離婚後に発覚した浮気の慰謝料請求時のポイント

上述のとおり、離婚後に発覚した浮気の慰謝料請求をする場合、婚姻中に請求するのと異なり、「離婚に応じることを駆け引きに使う」ということができません。
そのため、完全に被害配偶者優位で協議を進めることが難しくなってしまうのが現状です。
離婚後発覚した浮気の慰謝料を請求する際、被害配偶者の要望が通りやすくなるための重要なポイントがあります。
以下で詳しく解説します。
法的に有効な証拠を収集する
示談交渉や裁判手続きを有利に進めるためには、法律上の「不貞行為」を証明できるもの、つまり肉体関係がわかる証拠が必要です。
元配偶者がラブホテルや自宅に浮気相手と共に出入りする画像や、動画が決定的な証拠になりますが、過去の浮気の場合、そのような確固たる証拠を収集することは困難です。
しかし、法的に有効な証拠を収集することがまったく不可能というわけではありません。
例として、「友人や知人からの証言」を収集したり、メールやSNSの履歴などをもとに、過去の浮気の証拠を見つけ出したりすることができる場合もあります。
このように、離婚後に発覚した浮気の慰謝料を請求するためには、法的に有効な証拠をできる限り集める必要があるのです。
できるだけ示談で解決する
過去の浮気に対する慰謝料請求では、不貞行為を証明できる証拠を得ることが困難な場合が多く、調停や訴訟で争う場合、被害配偶者が劣勢になる可能性が高いです。
そのため、離婚後に発覚した浮気の慰謝料を請求する場合は、できる限り示談で解決することをおすすめします。
示談は、裁判手続きと比べて解決までのスピードが早く、精神的・経済的な負担を軽くすることができます。
また、事前にできるだけ多くの過去の浮気の証拠を揃え、元配偶者や浮気相手に突きつけることにより、その場で「浮気の自白」の言質を取ることも可能です。
その上で、相手方を納得させられれば、裁判で一般的に認められる相場よりも高額な慰謝料を受け取れる可能性もあるのです。
過去の浮気調査で探偵ができること

過去の浮気調査では、法的に有効な浮気(不貞行為)の証拠を得ることが難しいため、必然的に難易度があがります。
しかし、現在進行形の浮気ほどの決定的な証拠ではないにせよ、元配偶者や浮気相手の自白を促すに足りる証拠を確保することは充分に可能です。
以下、過去の浮気調査において探偵ができることをまとめました。
慰謝料を請求したり、法的措置を行うためには、不倫相手の氏名と住所を知る必要があります。
探偵であれば、所在調査や身元調査のスキルを駆使し、浮気相手の氏名、住所、年齢、勤務先、家族構成や友人関係などの情報を収集することができます。
探偵であれば、周囲の人間からの聞き込み調査やインターネット内の情報捜索を駆使します。
元配偶者や浮気相手のキスやハグしている写真や、「好き」「愛してる」などのメッセージのやり取りなど、可能な限り浮気を示唆する情報を収集することが可能です。
このような証拠をたくさん集め、それを元配偶者や浮気相手に突きつけることで、浮気の自白を引き出せる可能性があります。
浮気・不倫のお悩みは当探偵事務所へご相談ください

離婚後に発覚した浮気の慰謝料請求では、元配偶者や浮気相手が否認した場合、被害配偶者の側が不貞行為の事実関係や精神的苦痛の程度を主張する必要があります。
なおかつ、それを裏付ける証拠を提出して立証しなければなりません。
そのため浮気発覚後、やみくもに慰謝料を請求するのではなく、まず現状でどのような勝ち筋があるかを見極める必要があります。
当探偵事務所では、婚姻中〜離婚後のさまざまな不倫・浮気に関するご相談をお受けしており、解決までのサポート体制を充実させております。
離婚後に発覚した浮気に関してお悩みの方は、まずはご相談だけでも、お気軽にご連絡ください。
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