フードを被った人物の後ろ姿

「通勤途中に何度も同じ人と目が合う……。」

「帰宅時に誰かの視線を感じる……。」

「SNSでの投稿すべてに反応が来る……。」

そんな小さな違和感から「これってつきまといなのかな?」と悩むこともあるでしょう。

特定の人から自分の生活圏に入り込まれるうちに、不安はじわじわと心を蝕んでいきます。

しかし、自分の感じている恐怖が本当に「つきまとい」にあたるのか、自信が持てず、誰にも相談できないまま一人で悩み続けている方も少なくありません。

「警察に相談するのは大げさかな?」と思っているうちに、状況が悪化してしまうこともあります。

この記事では、「つきまといとはどこからが違法なのか?」という基本から、よくある行動パターンや対処法、そして確証がないときに頼れる方法までをわかりやすく解説します。

不安を抱えたまま、ひとりで耐え続けるのは危険です。

最後まで読み進め、行動に移すための第一歩として役立ててください。

つきまといはどこからが違法?

木にもたれかかる人物の人影

一口につきまといと言っても、どこからが違法なのかはわからないものです。ここでは、つきまといが違法になる範囲を解説します。

つきまとい行為の法的な定義

まず、つきまとい行為の法的な定義は「ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)」の第2条一項において次のように定義されています。

つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。

引用:ストーカー行為等の規制等に関する法律|e-GOV法令検索

ほかにも警察庁のホームページではつきまといの例として、次のような行為があげられています。

例えば、

  • あなたを尾行し、つきまとう。
  • あなたの行動先(通勤途中、外出先等)で待ち伏せする。
  • あなたの進路に立ちふさがる。
  • あなたの自宅や職場、学校等や実際にいる場所の付近で見張りをする。
  • あなたの自宅や職場、学校等や実際にいる場所に押し掛ける。
  • あなたの自宅や職場、学校等や実際にいる場所の付近をみだりにうろつく。

引用:ストーカー規制法|警察庁

あなたの生活圏の周りをうろつく人がいる場合は、つきまとい行為の被害に遭っている可能性が高いです。

反復して行うと違法性がある

つきまとい行為は反復して行うと違法性があると判断されやすいです。

事実、ストーカー規制法第4条においても、ストーカー行為はつきまといを含む行為を反復して行うことと定義されています。

この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(第一項第一号から第四号まで及び第五号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)又は位置情報無承諾取得等を反復してすることをいう。

引用:ストーカー規制法|e-GOV法令検索

つまり、つきまとい行為が違法になるかは、1回限りの行動ではなく、同様の迷惑行為が繰り返されているかが大きく影響します。

「たまたまだと思った」「偶然かもしれない」と感じるうちはまだ軽視しがちですが、同様の行動が何度も繰り返されるような場合は、違法行為に該当する可能性が高いです。

相手の行動に対して恐怖を抱いている

つきまとい行為が違法と判断されるかは、受け手であるあなたが恐怖を感じているかも重要なポイントです。

行動の意図や内容に関係なく、あなた自身が強い不安を覚えている場合は、つきまといに該当する可能性があります

実際に現在、つきまといに関して恐怖を抱いている場合は、「これくらいで気にしすぎかも」と感じる必要はありません。

あなたの感覚こそが身を守るための大切なサインとなるため、恐怖を感じている人は早めの対処が必要です。

つきまといを受けているかのチェックリスト

ノートにチェックリスト

自身がつきまといを受けているか判断できない場合は、次のチェックリストを確認してください。

特定の人から、以下のチェックリストの行為が繰り返し行われている場合は、つきまといに該当する可能性が高いです。

  • 尾行や待ち伏せをされる
  • 無視しても頻繁に連絡がくる
  • 自宅に勝手に訪問される
  • 共通の知人を使って接触を図ろうとしてくる
  • プレゼントや手紙を押し付けてくる
  • 近所や職場で誹謗中傷される

尾行や待ち伏せをされる

特定の人から繰り返し、尾行や待ち伏せをされる場合は、つきまといを受けている可能性が高いです。

以下のようなことが何度も続いている場合は、つきまとわれている可能性が高く、注意が必要です。

  • 通勤や通学ルートで毎日のように同じ人と合う
  • 特定の人を自宅付近で不自然に見かける
  • 駅やコンビニからつけられることが多い

とくに「いつも見られている気がする」「誰かに後をつけられているようだ」と感じたら、その直感は軽視すべきではありません

無視しても頻繁に連絡がくる

自分が連絡を無視しているにも関わらず、特定の人から頻繁に連絡が来る場合はつきまといに該当する可能性があります。

つきまといには、連絡を拒否したり無視したりしているにも関わらずLINEやメール、SNSでのコメントなどを執拗に送ってくるケースもあります。

しかも連絡手段をブロックしても、別のアカウントや電話番号で再びコンタクトを取ってくるようであれば、それは明確につきまとい行為に該当するでしょう。

特定の人から頻繁に連絡が来る場合は、「無視すれば大丈夫」と軽く見ず、相手の行動の異常さに目を向けることが自分の安全を守るためにも重要です。

自宅に勝手に訪問される

自宅に勝手に訪問される場合は、明確なつきまとい行為に該当し、あなたの生活に危険が及ぶ可能性も高いです。

例えば、次のような行為をされている場合は、早急な対応が必要です。

  • ドアの前で待ち伏せをする
  • インターホンを何度も鳴らす
  • ポストに手紙や物を繰り返し入れてくる

上記の行動は受け取る側に強い恐怖や不安を与え、受け手側の日常生活に大きな支障をきたす場合もあります。

特定の人が繰り返し自宅に押しかけてくる場合は、あなたの身の安全を守るための行動が必要です。

共通の知人を使って接触を図ろうとしてくる

あなたと直接連絡が取れなくなったことで、共通の知人を介して接触を試みてくるケースも、つきまとい行為の一環と見なされる可能性があります。

あなたの知人に対して「最近あの人どうしてる?」と探ってきたり、あなたに関する噂を流したりなど、第三者を巻き込む行為を行うケースもあります。

共通の友人に接触を図られている場合は、知人らに状況を説明してあなたの情報を渡さないなどの対策が必要です。

つきまとい行為には一人で対処せず、周囲と協力して対処していくことが大切です。

プレゼントや手紙を押し付けてくる

相手から一方的にプレゼントや手紙を送りつけられる行為も、つきまといの一種です。

あなたが拒否しているにも関わらず、相手が贈り物を無理矢理渡してくる場合は、あなたに対して強い執着心を持っている可能性があるでしょう。

また、物を渡せば自分の思い通りになるかも知れないという期待を抱いていることもあります。

あなた自身が受け取りを拒否しているのに継続的に贈り物を送ってくる場合は、つきまといに該当します。

近所や職場で誹謗中傷される

近所や職場などで誹謗中傷される場合も、つきまといになるケースがあります。

加害者が無関係な人に嘘を吹き込み、根拠のない悪評を広めることで、被害者の社会的信用や人間関係を意図的に傷つけようとするのです。

こうした行為は、周囲からの視線や誤解によって、被害者を孤立させ、精神的に追い詰めることを狙っている場合もあります。

継続的かつ悪意ある情報の流布は、単なるうわさ話と見過ごされがちですが、名誉毀損や業務妨害といった法的問題に発展することもあるため、決して軽視すべきではありません。

つきまとい以外も注意すべきストーカー行為一覧

注意の文字

ストーカー被害と聞くと「つきまとい」だけを思い浮かべがちですが、実際にはほかにもさまざまな危険行為が存在します。

警察庁が定めるストーカー規制法では、以下のような行動もストーカー行為として規定されています。

イ 監視していると告げる行為

ウ 面会や交際の要求

エ 乱暴な言動

オ 無言電話、連続した電話・ファクシミリ・電子メール・SNS・文書等

カ 汚物等の送付

キ 名誉を傷つける

ク 性的しゅう恥心の侵害

ケ GPS機器等を用いて位置情報を取得する行為

コ GPS機器等を取り付ける行為等

引用:ストーカー規制法|警察庁

たとえ現在、つきまといがないとしても、これらの被害を特定の人から受けている場合は、ストーカー行為に該当する可能性があります。

また、つきまといから始まった加害行為が、上記のようなより深刻なものへとエスカレートするケースも少なくありません。

少しでも「おかしい」と感じたら、我慢せずに行動を起こしてください。

被害を最小限に抑えるには、早めの対処が何より重要です。

つきまといから自分を守る対処法

対処法の文字

ここからは、つきまといから自分を守る具体的な対処法を紹介します。

警察に相談する

つきまとい被害に気づいたとき、まず真っ先に検討すべき行動が警察への相談です。

自分だけで抱え込むよりも、法的な保護を視野に入れた対処を早期に行うことで、被害の拡大を防げます。

警察では「110番通報」による緊急対応のほか、各都道府県警察の「生活安全課」などの事前相談窓口で相談が可能です。

あなたの状況に応じて、加害者に対してストーカー規制法や軽犯罪法に基づく警告や接近禁止命令、逮捕などの対処を行ってくれます。

とくに、相手がエスカレートしていると感じる場合や、身の危険を感じるときには、早めの相談が重要です。

証拠が乏しくても「不安を感じる行動が続いている」と明確に伝えることが、警告やパトロールなど初動対応につながる可能性もあるため、遠慮せず相談することが大切です。

証拠を記録する

つきまとい被害に遭っている際は、証拠を記録することも大切です。

証拠があることで警察も警告や接近禁止令などの行動を起こしやすく、よりスムーズな事件解決が期待できます。

有効な証拠には、発生した日時・場所・状況を残したメモや、スマートフォンでの録音や映像があげられます。

継続的なメールやLINEが来る場合は、スクリーンショットで保存しておきましょう。

警察などでは感情的な主張だけでは事件性がないと判断され、取り合ってもらえないケースもあるものです。

記録を続けることで、説得力を持って専門機関に被害を訴えられます。

友人や家族など周囲に共有する

つきまといやストーカー被害を受けている際は、信頼できる友人や家族に状況を共有しておきましょう。

家族や友人が事情を理解していれば、精神的な支えになるだけでなく、万が一の際に協力を得ることが可能です。

例えば、いざというときに備えて自宅に一緒にいてもらう、帰り道を付き添ってもらうなど、脅威に備えたサポートも得られます。

つきまといの状況を代わりに映像で残してもらうといった、証拠収集もお願いできるでしょう。

つきまといに遭った際は被害を深刻化させないためにも、早い段階で周囲に相談することが大切です。

SNSの投稿や設定を見直す

つきまとい被害を受けているとき、SNSの使い方にも注意が必要です。

何気ない投稿が、相手にあなたの行動パターンや居場所を知らせてしまう危険があるからです。

とくに位置情報が自動で付与される投稿や、写真に写り込んだ風景・施設名などから、自宅や職場が特定されるケースも少なくありません。

また、フォロー・フォロワーの関係を通じて、あなたの人間関係に干渉しようとする行為も見られます。

SNSの公開範囲やタグ付け設定を見直し、信頼できる人以外には情報が届かないよう制限をかけることが大切です。

場合によっては、しばらくの間、SNSの利用を控えるのも有効な手段のひとつです。

デジタル上の不用意な情報発信が、現実の被害拡大につながるおそれがあることを忘れず、慎重に運用するよう心がけましょう。

被害状況に合わせた窓口を利用する

つきまとい被害に悩んでいるときは、警察だけでなく、状況に応じた相談窓口を活用することが重要です。

具体的には、会社の労務担当や学校の相談室に状況を伝えることも選択肢のひとつです。

所属する企業や組織が事情を把握していれば、万が一のときに助けを求めやすくなると同時に、通勤や通学の際の付き添いなど対策に乗り出してくれる可能性もあります。

つきまといの被害を最小限に防ぐためには、自分以外の周囲に協力を仰ぐことも重要です。

自分の安全を最優先に、ためらわず声をあげましょう。

防犯対策を徹底する

つきまとい被害を未然に防ぐには、日常生活のなかでできる防犯対策を一つひとつ確実に行うことが大切です。

自分の身を守るための備えは、加害者の行動を抑止するうえでも効果があります。

まず、防犯ブザーやGPS付きの見守り端末など、携帯できる防犯グッズを持ち歩くようにしましょう。

緊急時に音を鳴らすだけでも周囲の注目を集められるため、抑止力として効果が期待できます。

また、自宅ではドアや窓に二重ロックを設ける、ドアスコープや防犯カメラを取り付けるといった物理的な防犯強化が重要です。

ポストや表札にフルネームを出さない、ゴミの内容に個人情報が含まれないよう注意するなど、日常の些細な工夫も被害の予防につながります。

防犯は「やりすぎ」くらいがちょうどいいとも言われます。

安心して生活するために、できることから対策を始めてみてください。

つきまといに確証がないなら探偵を利用しよう

人の手にSOSの文字が書かれたハート

つきまといに確証がない場合は、探偵を利用するのがおすすめです。

ここでは、つきまとい被害の解決に探偵を利用するメリットを解説します。

つきまといの証拠を合法的に収集できる

探偵に調査を依頼することで、安全かつ合法的につきまといの証拠を収集できます。

つきまとい被害に対して法的な対応を取るには、加害行動を裏付ける証拠が不可欠です。

しかし、自分で相手の行動を尾行したり撮影したりするのは、身の危険が伴うだけでなく、逆にプライバシーの侵害などのトラブルとなるリスクもあります。

探偵は張り込みや尾行、撮影などを法律の範囲内で行い、加害者の行動を客観的に記録していきます。

被害者が直接関与することなく、第三者の立場から正確な証拠を集めることができるため、安全かつ確実です。

面識のない探偵が調査を行うことで加害者に調査を悟られないため、相手の感情を逆撫でてしまう不安もありません。

加害者の行動パターン・身元特定が可能

探偵に調査することで、加害者の行動パターンを継続的に観察・記録し、身元の特定につなげられます。

ストーカーの存在を証明するには、単なる被害感情ではなく「誰が行っているか」を明確にする証拠が必要です。

身元の特定ができれば、警察への通報や法的手続きもスムーズに進められ、より実効性のある対策がとれるようになります。

探偵を活用すれば専門知識をもとにした詳細の調査を行い、早急に誰がつきまとい行為を行っているかがわかります。

警察や弁護士に提出できる報告書が得られる

探偵に依頼する最大のメリットには、警察や弁護士に提出できる形式の調査報告書を作成してもらえる点があげられます。

つきまとい行為に対して法的な措置を取る際には、客観的な証拠と、それを裏付ける正確な記録が必要不可欠です。

探偵が作成する報告書には、加害者の行動が日時順に整理され、写真・映像といった証拠が添付されます。

法的に信頼性の高い報告書となっているため、警察へ被害届を提出する際や弁護士を通じて調停・裁判に持ち込む際にも役立ちます。

「感情的な訴えだけでは動いてもらえない」という現実があるなかで、法的に有効な報告書として、自分の身を守る客観的な証拠が得られるのは大きな安心材料です。

つきまといかなと感じたらすぐ行動を

PCの前でスマホを手にする人物の手

「もしかして、これはつきまといかもしれない」といった違和感や恐怖を抱いたとき、ただ様子を見るという判断は危険です。

被害の芽を早期に摘むためには、その一歩を先延ばしにしないことが何より大切です。

つきまとい行為は、初期段階で適切な対処を行うことで、エスカレートすることを防げます。

逆に、放置してしまえば、精神的な負担が増すだけでなく、身体的な被害へとつながるおそれもあります。

警察への相談や探偵への依頼、周囲への共有など、できることから始めてください。

自分の安全と安心を守るためには、少しでも不安を感じた時点で、行動を起こすことが何よりの対策となります。

迷ったときこそ、声を上げる勇気が必要です。

執筆/監修者:山内 和也

2025年8月22日

探偵調査歴20年。国内外の潜入調査、信用に関する問題、迷惑行為、企業や個人生活での男女間のトラブルなど、多岐にわたる問題を解決してきました。豊富な経験と実績を基に、ウェブサイトの内容監修や執筆も行っています。