
SNSや職場、さらには自宅周辺での不可解な嫌がらせ……それはもしかすると、「愉快犯」による犯行かもしれません。
愉快犯とは、自らの快楽のために他人に迷惑をかける加害者を指します。
行動の背景には、興奮やストレス発散などさまざまな原因が隠されており、本人は遊びのつもりでも、被害者にとっては深刻な問題となるケースが多いです。
放置すれば、愉快犯の行動はエスカレートし、精神的にも社会的にも大きなダメージを受ける可能性もあるでしょう。
本記事では、「愉快犯の特徴や犯罪例」「愉快犯の対処法」を詳しく解説し、専門家による調査の必要性についてもお伝えします。
目次
愉快犯とは
愉快犯とは、人を恐怖におとしめ、混乱させたり、世間を騒がせたりすることを楽しむ人のことを指します。
個人に対する脅迫や誹謗中傷・つきまといなどの嫌がらせのほか、企業に対して嫌がらせ行為をし、業務妨害をするケースも少なくありません。
ここから、愉快犯の心理や行動について詳しく解説していきます。
あなたが受けている被害が愉快犯によるものなのか、考えてみましょう。
愉快犯の心理的特徴
愉快犯が犯行に及ぶ主な心理は、下記のとおりです。
愉快犯は、他人を困らせたり、混乱させたりすることで、スリルや快楽を得ようとします。
たとえば、相手の困った顔を見ることに快楽を覚えたり、ルールを破ることで高揚感を得たりするケースもあります。
本人は「楽しいからやった」「気分がよくなるからやった」と軽く考えていることも多いですが、被害者にとっては恐怖や不安を生む深刻な加害行為です。
愉快犯の多くは、自分のしていることを「ただの遊び」や「いたずら」と認識しており、深刻さを理解していません。
誰かの反応を引き出すことに快楽を覚え、まるでゲームのように悪質な好意を繰り返すことがあります。
こうした軽率な行動は、被害者の心をむしばみます。
被害の内容によっては、社会的信用の損失につながる恐れもあるでしょう。
日常生活の中で溜まったいら立ちや不満を、他人への迷惑行為という形で発散する愉快犯も少なくありません。
職場や家庭でのストレスを、見ず知らずの相手にぶつけることで気を晴らそうとするのです。
こうした加害者は、自分が誰かを傷つけているという自覚が乏しく、怒りやいら立ちのはけ口として自分よりも弱い相手を選ぶ傾向があります。
愉快犯のなかには、「誰かに構ってほしい」「目立ちたい」という承認欲求を動機として犯行に及ぶ人もいます。
近年SNSにおける、炎上狙いの過激な投稿や誹謗中傷行為が増えているように、注目を浴びるために犯行に及ぶケースは非常に多いです。
手段を選ばず犯行に及び、行為が過激化する傾向があるため、早期の対応が大切です。
「自分にはこれだけのことができる」と力を誇示することに快感を覚えるタイプも存在します。
ハッキングや匿名による誹謗中傷などによって相手を支配し、自分の力や存在価値を確認しようとするのです。
こうした愉快犯は、自分の知識や技術を悪用することで優越感を得ようとするため、計画的かつ悪質な行動をするのが特徴です。
愉快犯による犯罪例
愉快犯による主な犯罪例は、下記のとおりです。
愉快犯は、相手を不快にさせたり、困らせたりすること自体を楽しむため、さまざまな迷惑行為を仕掛けてきます。
たとえば、何度も無言電話をかける、出前や宅配を勝手に注文して送りつける、といったケースがあります。
被害者は生活のリズムを乱されるだけでなく、不安や恐怖心によって精神的に疲弊してしまうでしょう。
愉快犯は、SNSや掲示板・口コミサイト上で、特定の人や企業に対して根拠のない悪評を書き込んだり、虚偽の情報を拡散したりすることも非常に多いです。
愉快犯は匿名の安心感から罪の意識が薄く、反応を見て楽しんでいるのです。
被害者は社会的信用を傷つけられ、大きな損失を被る恐れがあります。
職場や近隣など、身近な環境での嫌がらせも愉快犯の典型的な行動のひとつ。
たとえば、自宅のポストに無言の手紙を繰り返し入れられる、玄関前にゴミを撒かれるなど、陰湿で継続的な行為が特徴です。
加害者は相手の反応を見ることを楽しみにしている場合が多く、放置すればさらに手口が巧妙化する恐れがあります。
被害が表面化しにくい分、悪意を向けられていることに気づかないこともあるでしょう。
言葉や行動によって、被害者を脅す「脅迫行為」に及ぶこともあります。
「秘密をバラす」「会社に迷惑をかけてやる」など、相手に恐怖心を与える言動で精神的に追い詰めるケースが多いです。
愉快犯は自分の存在を誇示する手段として脅迫を利用することも多く、非常に悪質です。
相手が恐れている様子を見て快感を覚えるタイプも存在するため、被害に遭った場合は、ひとりで対処しないことが大切です。
放火といった重大な犯罪に手を染めるケースもあります。
実際、ゴミ置き場や空き家に火をつけ、「燃える様子を見てスカッとした」と供述する愉快犯は少なくありません。
快楽や目立ちたいという欲求が暴走すると、人命に関わる危険な犯罪へと発展することもあるのです。
愉快犯が該当し得る罪
愉快犯による嫌がらせの被害に遭った場合、それを罪に問うことができるのかが気になるところです。
愉快犯が該当し得る罪について、詳しく見ていきましょう。
愉快犯が「殺すぞ」「会社に火をつけてやる」などの言葉やメッセージで相手を威圧する好意は、脅迫罪に該当します。
たとえ実行の意志がなかったとしても、相手に恐怖を与える目的での行為であれば、罪に問われる可能性があります。
※2年以下の懲役または30万円以下の罰金
事実かどうかにかかわらず、他人の社会的評価を下げる発言をすると名誉棄損罪に、侮辱的な言葉で相手の人格を傷つけると侮辱罪に該当します。
ネット上での発言であっても法的責任は免れません。
※名誉棄損罪:3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金
侮辱罪:拘留または科料
愉快犯がクレーム電話を執拗にかけたり、SNSで悪質な書き込みを行って企業活動を妨げたりした場合、威力業務妨害罪に問われる可能性があります。
たとえば、「爆破する」という虚偽通報で店舗を閉鎖に追い込んだ場合などが典型です。
※3年以下の懲役または50万円以下の罰金
他人の所有物に損害を与える行為は、器物損壊罪となります。
たとえば、他人の自転車や車を傷つけたり、他人の自宅の外壁に落書きをしたりする行為が該当します。
カメラ映像などで犯行の詳細が判明すれば、刑事告訴される可能性もあります。
※3年以下の懲役または30万円以下の罰金、もしくは科料
愉快犯のなかには、「驚かせたかった」「困る顔が見たかった」という動機で他人のものを盗むケースも多く、これは窃盗罪に該当します。
たとえ返すつもりであっても、他人の所有物を無断で持ち去れば成立します。
※10年以下の懲役または50万円以下の罰金
企業や個人の社会的信用を傷つける虚偽情報を拡散した場合、信用棄損罪に問われる可能性があります。
過去には、「この会社は詐欺をしている」と虚偽の情報をSNSに投稿されたり、「あの店の食事に異物が混入していた」と虚偽の噂を流されたりした例も報告されています。
企業への損害が発生した場合には、損害賠償請求などの法的措置が取られるケースが多いです。
※3年以下の懲役または50万円以下の罰金
他人の敷地や建物に無断で立ち入る行為は、住居侵入罪や建造物侵入罪に該当します。
深夜に敷地内を徘徊したり、つきまとって他人の敷地に侵入したりするケースがあります。
※3年以下の懲役または10万円以下の罰金
SNSで繰り返しメッセージを送りつける、何度も無言電話をかける、自宅付近で待ち伏せするなどの行為は、ストーカー規制法違反に該当します。
悪質な場合は、警察から警告や禁止命令が出されることも。
愉快犯が「好意」や「冗談」と認識していても、被害者の恐怖や不安が認められれば、立派な犯罪行為として処罰されます。
※6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金
愉快犯を放置するリスク
ただのいたずらと見過ごしていると、被害が取り返しのつかないほど深刻化するケースも多いです。
愉快犯は、相手の反応を楽しみながら徐々に行動をエスカレートさせていく傾向があり、被害者の心身や生活に重大な影響を及ぼします。
ここから、愉快犯を放置するリスクについて、詳しく見ていきましょう。
行動がエスカレートする
最初は小さな迷惑行為でも、放っておくと次第に悪質化し、深刻な被害へとつながる可能性があります。
また放置することで、加害者に「許されている」「受け入れられている」と錯覚させてしまい、結果として命に係わるような事態にまで発展するリスクもあります。
少しでも「おかしい」と感じた時点で、早めに第三者へ相談することが大事です。
加害者の責任を問えなくなる
愉快犯の被害を長期間放置してしまうと、証拠が消えたり、時効が成立したりして、あとから加害者の責任を問うことが難しくなります。
SNSの投稿が削除されたり、録音や映像の記録が残っていなかったりすると、被害を法的に立証できない可能性もあるのです。
早い段階で記録を残し、専門家に相談することで、加害者の行動を罪に問うことができます。
ブランドイメージが低下する
愉快犯による誹謗中傷や虚偽の口コミを放置すると、企業の信用やブランドイメージが大きく傷つくおそれがあります。
それが真実かどうかに関係なく、顧客離れを招くケースも多いです。
一度失った信頼を取り戻すのは容易ではありません。
事後対応だけでなく、迅速な初動対応が大事です。
被害が連鎖するおそれがある
愉快犯は、一度成功体験を得ると、同じ手口で他のターゲットにも被害を広げることがあります。
加害行為が癖になり、被害者の周囲の人や家族・職場などにまで被害が及ぶケースも少なくありません。
自分自身の安全だけでなく、周囲の人に対する二次被害を防ぐためにも、早期対応が不可欠です。
精神的負担が大きくなる
愉快犯の犯行は、直接的な被害だけでなく、被害者の心にも大きな負担を与えます。
「また何かされるのでは」と常に怯えたり、外出を控えるようになったりと、生活に支障をきたすこともあるでしょう。
加害者が執拗であればあるほど、精神的負担は大きくなっていくので、被害を受けた場合は我慢し続けないことが大切です。
愉快犯の被害に遭った際にすべきこと
愉快犯は、被害者の反応によって、行動をエスカレートすることがあります。
また、感情的に反応するよりも、冷静かつ記録に残る形で行動することが、法的対応や加害者特定への第一歩となります。
ここでは、被害に遭ったときにとるべき具体的な行動を紹介します。
被害を詳細に記録する
まずは、被害内容をできる限り具体的に記録することが大事です。
日時・場所・内容・相手からのメッセージや発言など、時系列で整理しておくことで、のちの調査や警察への被害届の提出・法的手続きがスムーズになります。
被害直後の記録ほど信頼性が高いため、ノートやメモアプリ・録音データなどで残しておきましょう。
証拠を保管しておく
愉快犯に対して法的対応を行うには、確実な証拠が不可欠です。
SNSの書き込み・メール・ラインの履歴・自宅の監視カメラ映像・物的損害の写真など、証拠となり得るものを可能な限り保存しておきましょう。
削除や改ざんのリスクを避けるため、スクリーンショットだけでなく、印刷やクラウドへの保存もおすすめです。
証拠の保管が、警察や探偵への相談時に大きな力となります。
ひとりで行動しない
愉快犯による嫌がらせがエスカレートしているときは、物理的な安全を最優先に考える必要があります。
帰宅時や外出時に人の気配を感じる、不審な荷物や張り紙が繰り返されるといった状況では、できるだけひとりで行動するのはやめておきましょう。
特に夜間の移動や人目につきにくい場所では、家族や知人と同行する、周囲に状況を共有しておく、事前に職場に相談しておくなど、万が一のリスクに備えることが大切です。
警察に相談する
被害が明らかであったり、恐怖を感じたりするレベルであれば、速やかに警察へ相談すべきです。
特に脅迫・侵入・器物損壊などの具体的な犯罪行為がある場合は、被害届の提出も視野に入れましょう。
証拠や記録を持参することで、より説得力のある説明が可能になり、警察の対応も早まります。
「被害が小さいから」とためらわず、早い段階で相談することが大切です。
探偵に相談する
愉快犯の正体がわからない、証拠が十分に集められないといった際には、探偵の調査が有効です。
プロの調査員が証拠収集や加害者の特定を行い、被害者が安全に対応できるようサポートします。
警察に動いてもらうには、一定の証拠が必要なことも多く、探偵による事前調査がその第一歩となることもあります。
精神的にも、専門家の力を借りることで安心感が得られるでしょう。
探偵による愉快犯の調査
愉快犯の被害を受けていても、証拠が不十分といった理由で警察が動いてくれないケースは少なくありません。
そんなときに心強いのが、調査のプロである探偵の存在です。
ここでは、探偵がどのように愉快犯の実態を明らかにし、被害者をサポートするのか具体的に紹介します。
被害の調査
探偵は、被害者が置かれている状況や過去の経緯、被害内容の詳細を丁寧にヒアリングし、愉快犯の手口やパターンを洗い出します。
現場に出向いての聞き取りや、状況証拠の収集などを通じて、被害の全容を可視化していきます。
「これくらいなら我慢できる」「気のせいかもしれない」と思い込んでいた好意が、明確な被害として整理され、対処の必要性がはっきりするでしょう。
犯人の特定
愉快犯の多くは匿名性を利用して行動したり、まったく面識のない相手をターゲットとして選んだりすることが多いため、特定が非常に困難です。
探偵は、自宅や職場の防犯カメラの映像解析や張り込み調査・聞き込み調査などを駆使して、加害者を突き止める手がかりを収集します。
SNS上の嫌がらせなども、通信記録の分析や投稿タイミングの解析により、背後にいる犯人を浮かび上がらせることが可能です。
証拠の収集
法的措置を検討する際には、愉快犯の行動を客観的に示す証拠が不可欠です。
探偵は尾行・張り込み・撮影・記録といった手法で、裁判でも通用するレベルの証拠を収集します。
SNSやメッセージの内容だけでなく、実際の行動の瞬間を押さえた写真や映像がそろえば、警察や弁護士も動きやすくなり、早期解決が見込めるでしょう。
犯人の身元調査
犯人が身近な人間であることもあれば、まったく面識のない相手であるケースも多いです。
探偵は、氏名・住居・職業・勤務先・家族構成・過去の犯罪歴など、加害者の身元情報を細かく調査します。
法的措置を検討する際、加害者の個人情報は必要不可欠です。
自力の調査が難しい場合には、探偵に調査を依頼しましょう。
法的サポート
探偵が収集した証拠や情報は、提携している弁護士と連携することで、法的手続きに活用できます。
証拠をもとに警察への被害届の提出や、民事での損害賠償請求といった対応を進めることも可能です。
被害者がひとりで対応に追われるのではなく、専門家と連携した体制で、安全かつ確実に問題解決をはかれるのが、探偵に依頼する大きな利点でしょう。
当事務所に寄せられた実際の相談事例
ここから、当事務所に寄せられた実際の「相談事例」と「調査結果」について紹介していきます。
「この程度で相談していいのかな」「どんな調査結果が得られるんだろう」と依頼を迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
相談内容:
ここ数カ月、自宅の郵便受けに空き缶やコンビニの袋が入れられるようになりました。はじめはいたずらだと思っていましたが、週に2〜3回も続き、悪質さを感じて不安になっています。誰がやっているのか突き止めてほしいです。
調査結果とその後:
張り込み調査の結果、加害者は近隣に住む20代の男性で、以前ご依頼者に駐車マナーについて注意されたことを逆恨みしていたことがわかった。嫌がらせの様子を映像で記録し、行為の継続性と悪質性を証明。映像と証拠をもとに警察に相談し、注意指導が実施された。以降、被害は止まり、依頼者の生活も平穏を取り戻した。
相談内容:
ある日、友人から「ネットにあなたの悪口が書かれている」と連絡があり、掲示板を確認すると、自分の名前や勤務先に関する虚偽の情報が書き込まれていました。内容は「社内で問題を起こしている」「不倫しているらしい」といった根拠のない中傷で、誰が書いているのかまったく見当がつきません。勤務先にも迷惑がかかりそうで怖いです。
調査結果とその後:
探偵によるアクセス記録の分析と掲示板の投稿傾向の特定により、加害者は同僚の女性であることが判明。気になっている男性がご依頼者を好きになったことが気に食わず、「困らせたかった」「悩んでいる様子を見てスカッとしたかった」という理由で嘘の書き込みを続けていたことが明らかになった。証拠をもとに掲示板の運営に削除依頼を行い、同時に弁護士を通じて加害者に内容証明を送付。謝罪と再発防止を約束させたことで、以降は投稿が一切止まった。早期に相談いただいたことで、被害が拡大する前に、事態を収束させることができた。
相談内容:
3カ月ほど前から、ネットの口コミやSNSに「食中毒になった」「店員が暴言を吐いた」などの虚偽の書き込みが相次いでいます。保健所に通報が入るなど営業にも影響が出始めており、犯人を突き止めて対応したいです。
調査結果とその後:
書き込みのパターンとIPアドレスを分析した結果、元従業員が複数のアカウントを使い、虚偽情報を拡散していたことが判明。退職時のトラブルが動機で、復讐心から投稿を繰り返していたことがわかった。証拠をもとに、弁護士を通じて損害賠償請求と削除依頼を行い、該当アカウントは凍結。以降、虚偽投稿は止まり、店舗の信用も徐々に回復した。
愉快犯の被害に遭っているときは当事務所にご相談ください
愉快犯の行動は、加害者にとっては遊びやいたずらの一環だったとしても、被害者には深刻な苦痛や恐怖をもたらすものです。
放置すれば被害はエスカレートしていき、精神的・社会的なダメージにつながる可能性も否定できません。
当事務所では、被害状況の整理から証拠収集・加害者の特定まで、専門的な調査でご依頼者をサポートいたします。
「気のせいかもしれない」「この程度で相談していいのだろうか」と悩む前に、まずは一度ご相談ください。
当事務所では、お問い合わせフォーム・メール・電話・ラインにて24時間365日、お問い合わせを承っています。
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